編者の編み物29

気がつけば8月も最終日を残すのみとなり、夏も終わりに向かっています。台風も過ぎ去ると、まだ夏の暑さが残る中に、秋の虫の音も聴こえてくる今日この頃です。

先日の菫教室では、東北の山合を走る鉄道を描いてきた生徒さんが居ました。

青空に緑の山々が広がる中、川が涼やかに流れ、鉄橋からはちょうどよい頃合いで鉄道が横切っています。ある夏の日に出逢った一瞬の風景を絵にしてみたら、臨場感があり、そよ風が感じられるような絵となりました。

先生の手が入ると、墨の濃淡で山や川の明暗がはっきりとして、木々のそよぎや川のせせらぎが聴こえてくるような絵に仕上がりました。

目的をもって出かけたにせよ、たまたま心惹かれる風景に出逢ったにせよ、日常のふとした光景を改めて見直してみるにせよ、夏の太陽や空気感が、それぞれの人に何らかの思いをもたらすのでしょう。

秋が来てしまう前に、忘れかけていたこの夏の思い出を、絵に残したいものです。